DERNIÈRE CHALEUR JAPON | ENTRETIEN SPÉCIAL
L'ENTRACTE 〜 幕間に、答える 〜
Codex Vivant 第一巻を閉じた DERNIÈRE CHALEUR へ
DERNIÈRE CHALEUR JAPON 代表 齋藤靖之からの、10の問い
Interview conducted in Mane, Provence — September 2026
Interview & Text : Yasuyuki Saito Location : Mane (04300), Alpes-de-Haute-Provence, France
SECONDE PARTIE
次の幕が上がるまで
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X.
第二巻について、いま言えることを。そして、この記事を読み終えた今夜に、ひとつだけ。
DERNIÈRE CHALEUR:
第二巻について、ひとつだけ言えます。
一行目を読んだとき、あなたは「知っている」と感じるはずです。
第一巻は、あなたの外側に在るものへ手を伸ばす旅でした。水、石鹸、靴、電気、まな板、余白。あなたは、共に暮らす存在の名前を、ひとつずつ覚えてきた。
第二巻では、その名前を呼ばれる側に、あなたが立ちます。
これ以上は申し上げません。言えば、それは醸造ではなく、味の説明になってしまう。 説明を先に読んでから飲む一杯ほど、つまらないものはありません。
ひとつだけ、約束します。 第一巻と同じ言葉で始まったとしても、その言葉の味は、まったく違っています。三十週分の層を持ったあなたが読むのですから、当然です。
そして、今夜のこと。
今夜は、何も足さないでください。
新しい儀式はありません。思い出すべき作法もありません。 いつも通りに一日を閉じてください。カーテンを引き、電気に「またね」と言い、自分の意志で瞼を下ろす。
そのとき、ひとつだけ、確かめてほしいことがあります。
カーテンを引くその手は、今日を終わらせるために動いていますか。 それとも、外が暗くなったから動いていますか。
同じ動きです。外から見れば、誰にも区別はつきません。 けれど、その数秒の内側にあるものが、習慣と儀式を分けています。
三十週かけてあなたが手に入れたのは、考えなくても動く身体ではありません。 自分がいま、どちらを生きているのかを、その場で見分けられる目です。
そして、習慣のほうだったと気づいたなら、その気づいた瞬間に、もう儀式は始まっています。
逃げず、闘わず、軽やかに在る。 それは、努力が要らなくなることではありませんでした。 毎日、ほんの一秒だけ、自分の意図を差し出し続けられる、ということでした。
樽は、自分が何になるかを知りません。 けれど、その樽に葡萄を入れたのは、誰かの意図です。
プロヴァンスから、あなたの静けさへ。
Ritualtude は、あなたの意図を待っています。
【 I N T E R V I E W N O T E S 】
取材は、マーヌの家の、赤い扉の内側で行われた。
窓は開いたまま。机には、ガラス瓶に入ったティユル、ヴェルヴェーヌ、カモミール。そして、手をつけられていないラガヴーリンが一杯。壁際には、譜面台に立てかけられた指揮棒。
取材の途中、薄っすらと雨が降った。彼はその音が通り過ぎるまで、言葉を止めた。そして「これも幕間の音です」と言って、話を続けた。
外に出ると、夕暮れ前のいつもの景色に、虹がかかっていた。DERNIÈRE CHALEUR が扉を閉める音が私の耳に届いた。その香りは、確かに、まだ残っている。
Yasuyuki SAITO
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